バイアス(思い込み)に流されてばかりいると、
・自分に不利益をもたらす様な、非合理的な選択を繰り返す
・世の中の悪い面ばかりに目を向けてしまう
といった感じで意外と悪影響が多いため、改善すべき問題なんですよ。そこで今回は、あなたが「思い込みに振り回されていないかチェックするテスト」を紹介したいと思います。
リンダ問題
「リンダ問題」は、米プリンストン大学のカーネマンとトヴェルスキー両教授が開発したものでして、バイアスに振り回されているかチェックするにはもってこいな問題です。内容はと言いますと、
“リンダさん”に関する情報をいくつか把握した上で、リンダさんの職業に関する質問に答える
というものです。早速ですが、トライしてみましょう!
まず、リンダさんに関する情報はこちら。全てチェックして下さい。
1アメリカ人
2社交的かつ明朗な性格
3学生時代には哲学を専攻
4差別や社会正義に関心がある
5反核運動に参加したことがある
全部把握できましたか?仮に全て読んでないようでしたら、もう一度戻って読み直して下さい。全て読んだようでしたら、次の質問に行きましょう。
○質問
リンダさんに当てはまるの可能性が高いのはどちらでしょう。よーく考えて答えてましょう。
①リンダさんは、小学校の教師である
②リンダさんは銀行の窓口係である
③リンダさんは銀行の窓口係でフェミニズム運動家である
※「フェミニズム活動」とは、ざっくり説明すると女性の為の社会運動であり、一種の反核運動です。
選びましたか?「決められない!」って方は、もう一度リンダさんの情報をチェックしても構いません。答えを決めた方は結果を見てみましょう。
結果:バイアスに流されやすい人が選ぶ番号は・・・
何番を選びましたでしょうかー。この「リンダ問題」の結果で何が解るかといいますと、
・③を選んだ人は、バイアスにハマりやすく非合理的な傾向が強い!
ということです。というのも、論理的に考えれば「銀行の窓口係でフェミニズム活動家である確率」は「銀行の窓口係である確率」より少ないことは明らかであるからです。
とはいえ、「うわ。でも③選んじゃった!」って人が多いかと思いのではないでしょうか(笑) 実は、同教授たちの研究でも、「リンダさんは銀行の窓口係でフェミニズム活動家である」の選択肢を選ぶ確率が高かったんです。要するに、非合理的な意思決定をする人の方が相対的に多いわけなんですよ。
なぜ、この様な結果になるのかというと「代表性」の観点から説明ができます。
代表性とは
代表性とは、「評価する対象の偏った”特徴”に流される認知の仕方」のことを指します。簡単に言えば、
・たった1つの特徴だけを見てしまい、本来見るべき箇所を見ることができていない状態
って感じになります。この傾向は、ギャンブルなんかで顕著に現れますねー。例えばですが、
連続で9回コインの表が出た。あなたは表と裏でどちらに賭けますか?
と聞かれたときに、どうしても裏を選びたくなりますよね。しかし、どちらを選ぼうが確率は二分の一で一切変動しないんです。同じことが「リンダ問題」でも言えます。いくらリンダさんが、差別や社会主義に関心があるとはいえ、反核活動家に似合った活動をしている確率は極めて低いままなんです。
まあ、この代表性には、ギャンブルにハマりやすい人ほどハマりやすい傾向が強いんですよねー。「次こそ!っ次こそは!」って言ってる内に財布が空っぽに。なんて状態になってしまうわけです。
まとめ
とは言うものの、今回言いたかったことは、「リンダさんが銀行の窓口係でフェミニズム活動家である」の選択肢を選んだ人は、残念!バイアスに流されやすい上に合理性が低いよ!ってことではありません。このエントリの目的は、
・自分かバイアスに流されやすいことを把握してもらうこと
です。「あー。おれはバイアスに流されやすいのかー!」と、把握してくれれば充分です。というのも、ある研究で、
・「自分はバイアスにハマりやすい人間である」と思っているだけで合理性は高まる!
ということが明らかになっているからです。つまるところ、今回「リンダ問題」の罠にハマった人は既に合理性が高まった!というわけです。
まあ、より合理性を高めてバイアスに流されないようにしたい方には、
こちらの記事が参考になるかと思います。以上。