「結局カフェインは記憶力に影響するの?」
カフェインが頭をシャキッとさせてくれるのは、皆さんご存知のところ。カフェインは脳内に存在する疲労物質「アデノシン」の働きをブロックしてくれるので、カフェインの摂取で頭が冴えるのは間違いないと言えます。この効果によって脳の認知機能が向上することは、数多くの研究で明らかになっております。
まあそんなカフェインなんですが、「記憶力への好影響は存在するの?」って疑問がでてきますよね。作業効率を高めてくれることは間違いないと言えますが、はたして記憶力に対するメリットは存在するのでしょうか。
今回は、そんな「カフェインと記憶力の関係」について見ていきたいと思います。いくつかの研究をまとめてみましたー。
カフェインと短期記憶
1つ目として、>カフェインには記憶力を向上させる効果があることが示唆されています。
これについては、MNTのレビューによれば、オーストラリアのイスタンブルック医科大学のフロリアン・コペルスタッター博士が率いるチームが明らかにしてくれたそうです。まず、どんな研究内容かと言うと、
参加者は、実験前に12時間「カフェイン」や「ニコチン」などの刺激物なしで生活する。その後、100mgのカフェインを摂取するグループと何も摂取しない2つのグループに分けて、短期記憶を使うテストを実施する。
というもの。その結果、100mgのカフェインを摂取した参加者は、
・短期記憶が向上した!
・注意力の向上も見られた!
ってデータが得られたそうです。なぜ、このような結果になったのかということですが、研究者いわく、
カフェインの摂取により、脳の様々な分野での神経活動の増加が確認できた
とのこと。なんでも、短期記憶を司る「前頭葉」と、注意力を制御している「前帯状皮質」が活性化したそうです。
短期記憶は記憶形成の最初の段階なので、記憶力を向上させる上では中々よろしい結果かと思います。しかしながら、この研究には問題点として、カフェインを実験前に服用していることが挙げられるんですよね。というのも、
・「カフェインを事前に摂取したことで、単純に記憶する作業の効率が上がったのでは?」
と考えることもできちゃうんですよ。まあ、「それでも記憶力が向上するなら良いじゃない!」と思う方もいらっしゃいましょうが、その辺の問題までガッツリ調べた研究もあるので紹介したいと思います。
カフェインと記憶力,長期記憶
これは、「Nature Neurosience」に掲載された、クリーガー芸術大学の心理学と脳科学の助教授であるミシェル・ヤーシャが行った研究。研究チームは、「カフェインが認知機能を向上させることは既に明らかになっているけど、『記憶力』そのものに対する影響ってどうなのよ」ということについてガッツリ調べました。研究は2のステップに分かれております。
普段カフェインを摂取しない人々を対象とし、1連の画像を見せる。でもって、そのテストの5分後に以下の2つのグループに分ける。
1.カフェインを200mg摂取
2.プラシーボ(偽薬)を摂取
24時間後、参加者に画像を識別するテストを実施。テストでは、画像は「前日と同じ」「新規追加」「類似しているけど違う」の3種類を用いる。
要は、カフェインによる認知機能の向上効果を避けた上で、なおかつ長期記憶に影響があったのか調べたわけです。また、ポイントとしては、「類似しているけど違う画像」を用いているところが挙げられます。というもの、類似しているのもを識別するのには、より高いレベルの記憶保持が必要になるからです。
んで、その結果はというと、
・カフェイングループは、「類似しているけど違う」画像まで正確に識別できる割合が高かった!
・ブラシーボグループは、「類似しているけど違う」画像を識別できる割合が低かった!
ってデータが得られたそうです。要は、カフェインによる記憶力向上が認知機能の向上によるものではないことが証明され、なおかつ長期記憶までもが向上することが明らかになったわけです。研究者いわく、
もし、類似画像を用いらなかったら、カフェインが記憶力にもたらす効果について明らかになることはなかっただろう。しかしながら、類似画像を用いたことで、「パターン認知」と呼ばれる複雑な識別能力がカフェインによって向上させることができることが分かった。
また、過去の研究では、タスクを行う前にカフェインを摂取していた。しかし、我々の研究では、タスクを行った後にカフェインを摂取させた。そして、結果に好影響をもたらすことが確認できたが、これは記憶力の向上によるものに他ならない。
とのこと。「パターン認知」は複雑なタスクであり、高いレベルで記憶を保持していなければクリアすることはできないし、なおかつ実験の後にカフェインを摂取させているからカフェインによって長期記憶が向上したのは間違いない、と。
まとめ
ということで、結論としては、
・カフェインには記憶力を向上させる効果がある!
という感じになるかと思います。短期記憶の向上効果については怪しかったものの、ミシェル博士の研究で明確にカフェインが記憶力に及ぼすメリットが明らかになっております。摂取量に関しては、体質と相談しつつコーヒー2杯くらいを目安に摂取するのが吉かと思います。