お店で食品を選ぶ際、パッケージに記載されている『うたい文句』に基づいて購入を決断する方が多いではないでしょうか。ここで言う、『うたい文句』ってのは、
・カルシウム○○mg配合!
・ビタミン○○種が摂取できちゃう!
・高タンパク食品!
・脂肪分15%カット!
・コレステロールカット!
などのことです。カロリー、脂肪、タンパク質、炭水化物などの要素よりも、一発のインパクトに触発されて買ってしまう方が多いはずです。
が….実は、企業が製品のパッケージに記載する「栄養表示」は、実際に含まれる含有量と一致していないケースがあるんですよ。
といったところで、近頃『朝食シリアルの「パッケージ正面のうたい文句」と実際の含有量の関係性は”ほぼセロ”だぞ!』という研究が発表されていたので紹介したいと思います。
人は『ポジティブ追加の情報』に反応してしまう
これは、雑誌「Public Policy and Marketing」に掲載されたロッテルダムマネジメントスクールなどの研究チームが行った研究。研究チームは、「パッケージの正面のうたい文句と、実際の栄養素にはどれだけ関係があるの?」といったことや、「消費者はパッケージのうたい文句に基づいて行動しているの?」ということについて調査したんですね。
まずはじめに、研究チームは正面パッケージの表示を以下の2つのグループに分けました。
1.ポジティブ追加の情報:
「高カルシウム!」「高タンパク!」「ビタミン配合!」「グリテンフリー!」「低コレステロール!」など。
2.ネガティブ排除の情報:
「人工甘味料不使用!」「遺伝子組み換えなし!」「オールナチュラル!」など。
ちなみに、パッケージ正面の健康フレーズは、朝食シリアル633品中460品に掲載されていたと言います。
その後、消費者の意思決定と健康フレーズの関係を分析したそうですが、研究チームいわく
消費者はネガティブ排除の情報よりも、ポジティブ追加の情報に好感を示すことが分かった。
だそうです。これはつまり、言い換えれば
・人はポジティブ追加の情報を見るだけで、あたかもその商品が健康的だと認識してしまう!
というわけです。まあ、この現象は心理学的側面が大きいでしょうね。というのも、栄養素の追加という情報は、不健康な食事を自分自身に許す言い訳になるからです。
”ただのお菓子”であるのにも関わらず、「ビタミンが5種も含まれてるなら…」「健康に良いのに美味しくてサイコー!」って感じで購入してしまう方は多いと思います。特にダイエット中で甘さに飢えた状態の際に陥りやすい現象ですね。
まあ、この意思決定を生み出すことこそが企業の狙いでもあるわけなんですが。
とはいえ、言い訳してしまう自分自身を止めたい方もいらっしゃるかと思いますんで、さらに興味深いデータを見てみましょう。
朝食シリアルの『パッケージ正面のフレーズ』と『実際の含有量』の関係は”ほぼセロ”
同研究では、さらに興味深いデータが得られています。研究チームによれば、なんと
・パッケージ正面のフレーズと実際の含有量の関係性は、ほぼゼロ!
だったそうです。うーん、怖い。
まとめ
そんなわけで、「人は栄養が追加されている!という情報に弱い」「正面パッケージ記載の情報と、実際の含有量の関係性はゼロに近い」という研究の話でしたー。
同研究チームによれば、正面パッケージ記載の情報は
・体重低下
・健康に関係
などといった情報も正確に繁栄されていないケースが多いといいます。まあ、結論としては、
・本気で健康や美容を目指すなら、加工食品を減らして野菜やフルーツを食べる
って感じになるかと思います。少なくとも、購入の意思決定の際は「正面パッケージの栄養素を言い訳にしていないか?」ということに注意するのが吉。