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なぜ人はギャンブルに依存してしまうのか。あなたがギャンブルにハマる4つの理由

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なぜ、人はギャンブルに依存してしまうのでしょうか。

なぜ人は、膨大な時間とお金を無駄にしていると分かっていながら、それでもギャンブルにのめり込んでしまうのでしょうか。

参考;Irresistible: the rise of addictive technology and the business of keeping us hooked

誰もがギャンブルにハマる4つの科学的理由

今回は、人がギャンブルに依存してしまう理由を4つ紹介したいと思います。

ギャンブルは、人間が依存しやすいよう巧妙にデザインされています。どんなに賢い人でも、です。

①くる…くるぞ!!

人がギャンブルにハマってしまう理由の1つ目は、「予測不可能な報酬」です。実は、人間の脳は、確実に貰える報酬よりも、予測できない報酬に対しての方が興奮する仕組みになっています。そして、パチンコやスロットマシンは、その仕組みを最大限活かし、人が最も興奮するようにデザインされています…

「でも、確実に貰える報酬の方が興奮するのでは?」と考えたそこのあなた! 非常に興味深い研究があるので少しだけ読んでくだい。

これは、1971年にマイケル・ゼイラーという心理学者が、お腹を空かせたハト3羽を対象に行なった実験。研究チームには、「政府が国民に寄付を推奨したり、犯罪を抑制するための効率的な方法は存在するのか?」という目的がありました。

具体的には、研究者は、ハトに以下の2つのパターンで褒美(エサ)を与え、作業の効率(ハトがボタンを押す回数)にどのような違いが生まれるのか検証しました。

1.歩合制で作業量が多いほど給料が増えるように、”檻の中の小さなボタンを押すごとにエサを出す”パターン。

2.ランダムなスケジュールでエサを出すパターン。この場合、ハトがボタンを押すか否かは、エサの提供と一切関係がない。つまり、ハトにとっては結果が予測不能な状態

ちなみに、実験の対象となったハトは、「ホワイト・カルノー・ピジョン」と呼ばれる一般的なハトよりもふくよかで、食欲が旺盛という特徴があります。

さて、結果はどうなったのでしょうか。率直に考えれば、ボタンを押してもエサが出てこない場合がある「ランダムグループ」は、ボタンを押す気力を失ってしまいそうな気がします。…..しかし、結果はというと、

ランダムグループのハトは、ボタンを猛烈につつきまくった!
具体的には、褒美がランダムに出るほうが、”2倍”もボタンをつつく回数が多かった!
また、ランダムグループは、脳内で放出されるドーパミンの量も多かった!

だったそうです。つまり、不確実な”当たり”ほど興奮してしまうというわけです。「いやでもこれって、ハトじゃん。人じゃないじゃん!」と考えてしまいますが、人間も同じです。

2001年に行われた実験では、グレッグ・バーンズという神経経済学者が、25人の成人を対象として研究を行いました。詳しい研究内容は、以下の通りです。

・参加者を仰向けに寝かせ、口に小さな管を加えさせる
・同時に、fMRI装置で脳の活動をチェックする
・そして、管から「ジュース」と「水」の二種類を飲ませながら、参加者の脳が快感を感じているか調べる。
(ちなみに、参加者の大半は水よりもジュースを好んでいたそうです)

また、実験の前半では、管から喉に液体が流れ込む感覚を一定にしました。水が流れ、10秒あけて、ジュースが流れ、また10秒の感覚が空くといった具合です。

そして、ここからがポイント。研究チームは後半にサプライズの要素を加えました。次の報酬がいつ来るのか、そしてそれが水なのかジュースがなのか。参加者には全く予想がつかない状況を作り上げたのです!

その結果、何が起こったか。なんと、

前半の”結果が予測できる”状態では、参加者の脳の快感度合いは薄れていく一方だった!
しかし、後半の”結果が予想できない状況”では、参加者の脳の快感度合いは大きくなり続け、実験が終わるまで喜びを示し続けた!

だったそうです。この実験からわかるように、とりわけ人間の脳はランダムな報酬に興奮する仕組みになっています。

”当たりそうで当たらない。でも、たまに当たる。”

そんなギャンブルに多額のお金をつぎ込んでしまう理由は、人間が興奮する「ランダムのレベル」を調べ尽くしてギャンブルがデザインされているからなんです。

「くる…くるぞ!!」と感じた瞬間に、脳みそはギャンブルにぞっこん。後は、真の危険性を忘れ、身を滅ぼしながら、目の前の報酬に手を伸ばすだけです。目の前のエサに惹かれ、釣り針に食らいつく魚のように。

でも、財布が軽くなっていくのにも関わらず、依然としてお金を使ってしまう人がいるのはなぜなのでしょうか。それは…

2.「当たりに偽造したハズレ」

ギャンブルの中毒者は社会問題となりうるため、運営側には多くの規制が強いられています。だから、遠隔操作や当たりの確率をいじることは禁止されています。

では、そのような状況において、運営側はどのような対策をとっているのでしょうか。違反をせずに客を帰らせない秘策など存在するのでしょうか。

この問の答えは、既に文化人類学者のシュールを始めとした数多くのギャンブル専門家が明らかにしています。その答えはというと、

ギャンブルでは『幸福大使』という手法が使われている

というものです。「幸福大使」とは、当たりに偽装したハズレのことを指します。ここでいう当たりに偽装したハズレとは、言い換えれば、形としては「当たり」だけど、実際にはお金を全く出さない当たりのことです。いわゆる「バケ」ってやつです。

カジノを始めとして、多くのギャンブル機関は、「幸福大使」を用いて客を引き止めているのです。

ここで、「でも、お金が減り続けているのなら、ニセの当たりでも客は辞めにする決断をするのでは?」と思う方がいらっしゃるかと思いますが、人間ってのはそのように行動できない生き物なんですよ。心理学者のマイク・ディクンソンが行った興味深い研究があります。

同氏は、実験の参加者に電極を装着し、スロットマシンをプレイさせました。この間は、彼らに装着された電極は、1分ごとに発汗量を検知しています。これによって、参加者の感情的な反応具合を数値として測れるというわけです。

実験に使われたスロットマシンは、回転中はロックバンドの軽快な音楽が流れています。そして、はずれれば静かになり、当たればライト光り、チャイムがなります。たとえそれが、”当たりのふりをしたハズレ”でもです。

さて、実験の結果はどのようになったのでしょうか。

….結果、研究者の予想を上回る恐ろしことが明らかになりました。なんと、

参加者の発汗量は、本当の当たりでも、ニセの当たりでも変わらなかった!

だったそうです。これはつまり、本当は負けていたとしても、脳は「ニセの当たり」を勝ちだと認識してしまう事実を示しています。恐ろしい! 現代のギャンブル全般が危険なのはこのためです。

どれだけ熱中し、血眼になったギャンブラーでも、負けが続けば興味を失い始めます。だから、本来であれば負けが連続した段階でギャンブラーは見切りをつけ、その場を去る選択をするはずなのです。

しかし、運営側はそれを許しません。収益源を失うわけにはいきませんから。

だから運営側は、快くギャンブラーたちに「幸福大使」を送り届けるのです。きらびやかな当たりに偽装した、”ただのハズレ”を。

3.スピード感

幸福大使に加え、客に「ハズレ」すなわち「負け」を感じさせない細工があります。それは、「スピード感」です。

大抵のスロットマシンは、1回のプレイに数秒もかからず、そのあいだも小刻みに配当を変えていきます。このハイスピードでプレイを続けていると、脳は反射的に「もう少しでものすごい報酬が手に入るのでは?」と考えてしまいます。

というのも、脳には、単純なもの、そしてわかりやすいものを好む性質があるため、ハイスピードのプレイを”難なく操っている感覚”が脳を興奮させてしまうんですよ。

結果として、激しくモチベーションがアップし、「今日はなんとなく当たりそうだ!」などといった根拠のない謎の自信に包まれ、最終的には膨大な時間をギャンブルに費やしてしまうのです。

ここまでで、人間は「不確実性(ランダム性)」と「スピード感」に興奮するということ。そして、運営側はそれらの脳の仕組みに基づいてギャンブルをデザインしており、なおかつ「幸運大使」でギャンブラーを引き止めていることを説明しました。

ここまで読んだ方はいらっしゃいますか?

…最後に1つ。”トドメの一撃”について。

4.ここまで来たらやめられない

人間は、利益よりも、損失に対して過剰に反応します。例えば、以下の選択肢があった場合、どちらを選びますか?

①「新しくできたガン検診」を受診すれば、ガンを早期発見できる確率が飛躍的に高まります
②「新しくできたガン検診」を受信しなければ、ガンの早期発見が困難になります

どちらを選びましたか? どちらの選択肢も全く同じ内容を表していますが、統計的には②を選ぶ人が多いそうです。つまり、人間は損を避けたがる生き物なのです。

….ですが、一度脳を興奮させられ、ギャンブルをプレイし始めれば、気づかぬうちに損失は溜まってしまします。そうなったら最後、興奮が冷めた後でも簡単には辞められなくなります。そして、こう考えるのです。

「ここまできたらやめられない。取り返すまでやってやる」、と。

そもそもですが、”長時間プレイするほど大当たりの確率があがる”なんてのは真っ赤なウソです。

例えばあなたが、コイントスで盛り上がっているカジノのブースに立ち寄ったとします。周りの客に聞けば、「表が9回連続で出ている」と言います。
ーーしめた!
ここであなたは「裏」に莫大な大金を賭けました。「表が9回も続いたなら、そろそろ裏が来るに違いない!」、と。

しかし、これは大きな間違い。コインの表が9回連続で出たとしても、次のコイントスで裏が出る確率は2分の1です。たとえコインの表が10万回連続ででたとしても、次のコイントスで裏が出る確率は2分の1で変わりません。

そして、一番忘れてはならないこと。大半のギャンブルは運営側、すなわち胴元がいます。胴元が存在する以上、プレイすればするほど負けは増えていきます。これは確固たる事実です。取り返すことなどできないのです。

そして、何度も述べた通り、ギャンブルは脳を興奮させるようにできています。つまり、ギャンブルに依存しない方法、中毒を抜け出す方法は…